10.ホット・ブレイク





「…んぅ、」



ナカで暴れている彼の指に悶える。

シーツを握り締めて、背中を駆け巡る快感を何とかやり過ごして見せた。

だって、まだ達したくないから。どうせなら彼と一緒に気持ちよくなりたいもの。




人の気持ちなんてお構いなし。

彼の指は静まることを知らずに、徐々に私を絶頂へと導こうとしているものだから。

必死に握り締めてたシーツから手を離して、重なっている身体を辿るように、すぐそこにあるルフィの肩を掴む。





そんな私の行動に気付いた彼は。

きょとんと首を傾げて視線を合わせてくれた。

嫌、嫌、と首を振って一人では達したくないことを悶えながらも何とか彼へと告げる、…けど。





ルフィは余裕そうに笑って。

これ以上、首を振れないように私の額に自分の額を合わせて…今度は優しく微笑んだ。

私はと言えば近距離から降って来た熱い唇と同時に治まった指の愛撫に安堵の息を漏らすも、それは彼の喉。





ちゅっ、ちゅっ、と人懐っこいキスが続く。

甘えるようにルフィの首元に両手を回して…ぎゅっと抱き締めてあげたら。

ゆっくりとナカを圧迫していた指が抜かれ、「よいしょ」という掛け声と共に彼の両手が私の頭付近のシーツに落ちる。

可愛がるように頭を撫でられて先程のキスの続きをしてくれた。





喘ぐだけ喘いで、散々可愛がられたから。

絶対に汗臭いのは分かっているけど…くっ付きたいの、今くらいは、その鼻の機能を停止してよね。





「ナミ、今日も痛くねぇといいな!」
「初めてな訳でも久し振りな訳でもないんだから大丈夫だってば」
「でもよー何かの間違いってこともあるだろー」
「どんな間違いよ」
「それは、お前、色々だ」





抱かれる度に思うんだけど、顔に似合わずルフィは結構慎重だ。

その理由は何となく想像が付かないこともない。

ルフィとした「はじめて」の時に私が酷く痛がって半泣き状態になってしまったのを今でも気にしてくれているんだろう。

いつのこと気にしてるのよ、と言ったってルフィは無理をしないで居てくれる。





だから余計に私はわがままになって。

もうちょっとだけ強引に抱いてくれてもいいのに、なんてことを考えてしまう。

現に今では快感というものを敏感に感じられるようにまでなったし、多少強引でも大丈夫だと思うんだけど。

どんなに自身が昂ぶっていても最大限の我慢をしてくれているルフィを見ていると、いつも申し訳なさが先立つ。





大切にしてくれてるのかな。

それとも女の涙に弱いからなのかしら。

考えるだけ考えて、私が理解した結論は上に挙げた2つのどちらでもない。



結局は私がわがままなのだ。




















彼がナカに入ってくる時。

私は強く、強く目を瞑って彼を感じてる。

どくどくと脈打ちながら私のナカにすっぽり侵入を果たし、腰を打ちつけようとするルフィに無理な願い事。

自分の昂ぶりを最大限我慢してくれた彼に対して酷な願い事だと分かってはいるのだけれど。





「動いちゃイヤ」
「それはキビシー注文だな」
「今、動いたらエッチ中止だからね」
「ええっ!それは困る!…んん、分かった。おれ頑張る」

「…あのね、ルフィ」
「おう」
「あんたがいっぱい欲しい」
「いっぱい?」
「そう、たまにはルフィのことしか考えられなくなるくらい、いっぱい。意味分かる?」





自分でもよくこんなことを言えたものだと思う。

まだ私にしては遠回しな方かなとは思うけど…このくらい言わなきゃ伝わらないでしょ?

優しく抱かれるのも好きだけど、

もっと私を求めてくれてるのが伝わるくらい荒々しく抱いて欲しい日もあるって。

あんたの好きなように、めちゃくちゃにされたい日もあるの、…たまには余裕さえ忘れるくらいに求めて欲しいじゃない。



私のわがままに目を大きく見開いたルフィは口をへの字に曲げて何やら考えている。

どうやら私の発した言葉の意味を自分なりに理解しようとしてくれているらしい。

言った本人が一番恥ずかしいんだから、あんまり長く考え込まないで欲しいところだわ。





「んー、もっとばくばく食って欲しいってことか?」
「よく意味が分からないんだけど…まぁそういうことにしとく」
「もっと激しくしてもいいぞってことだろ?」
「簡単に言っちゃえばそうね、」
「ナミは欲しがりだな」
「女の子にだって発情期はあるの」
「おれはナミを見ると、いっつもハツジョウキだぞ」





そう言ってのけた彼は本日変貌を遂げる。

結合時に「待った」を掛けたのが相当堪えたのか、「待った」を解いた途端に激しく突き上げられた。

加えて今日は「ばくばく食う」と宣言した彼らしく…。

身体の隅々までしつこいくらいに弄り回されて、私はいつもよりも遥かに多く身体をビクつかせ跳ねらすことになる。

生きていく為に必要な呼吸さえ、自分のペースでさせてなんてくれないのだ。





普通は、もっと、こう。

徐々に激しくするものだと思わない?

ほんの数分前まで私の身体を気遣ってくれていた男とは思えない。

擦りあげられる度に最初は感じた若干の痛みさえも徐々に快感に変わっていって、誘うように腰を振り続けている私も、実際どうかと思うけど…。



腰を揺らして悦びの声をしきりに上げている私が。

数日後には、彼の激しさに泣きを見て己の発した軽はずみな誘い文句を早速後悔することになる。



もしかしたら、私は決して解いてはいけない彼の性欲制御装置を解いてしまったんだろうか。


私、ホットブレイクって「暖かさをぶち壊せ!」って意味だと思ってたので、こんなお話になりました(救えない)