気がつけば、あたしの瞳はもう。
アンタのことしか追っていなかったのかもしれない。



















帽子と水着と水平線



























空が晴れて晴れて。
雲ひとつないくらいに、快晴で。
こんな日はちょっとくらい泳ぎにいったっていいでしょ?って。
そう言ったら、手を取られた。







「な、なによ急に!」
「こっちこい!」





引っ張られるままに足を進める。
アンタの足の長さとあたしのは同じじゃない。
だから、もつれて転びそうになるのに。
そんなこと、一切お構いなしなんだから。






「早く!」
「ちょっと、待ってよもう!」





急かすルフィの顔は満面の笑みで。
彼越しに見える太陽の方が眩しいはずなのに。
何故か。
あたしの目にはルフィの方が眩しく映った。








麦わら帽子のツバが曲がって、隙間から覗く黒い瞳。
それはあたしを。
あたしだけを貫いていたから。







「どこまで行くのよ?!」
「ずっと、遠くだ!」
「なんで?!もうすぐ傍に海あるでしょ?!」






そう。
あたしたちは海を渡って旅してるんだから。
海はすぐそばにあるのに。
ルフィはそこから離れようとしてる。







でも。
その訳を聞いても、ルフィは答えなかった。







ぐいぐいと腕を引っ張られて。
だけど追いつけないのは悔しいから、必死で走る。
どんどん船から遠ざかっていって。
森の中に入っていって。






「アンタ、森に入ってどーすんのよ?!」
「いいんだ!」
「よくないっ!あたしは海で泳ぎたいって言ってるでしょ?!」
「もうすぐだから、手ぇ離すなよ!」








ルフィの言葉を追いかけるように。
視界が急に、開ける。








見渡す限り海が広がる、海岸が目に入ってきた。







「あーーーーーーーー走ったぁ!」
「っきゃっ!」






ばったん、と容赦なく砂の上に体を倒す。
手を繋いだままだったから、あたしも地面に座り込むことになった。
全く、いつも勝手に行動するんだから。
やってることは意外とロマンチストなのに。
行き当たりばったりなもんだから常に台無し。
・・・・そんなとこ、嫌いじゃないけど。






横ではぁはぁ息を整えているルフィを尻目に、あたしは海へ目を戻した。
風が強くて、砂が少し舞い上がっているけれど。
遠くに見える水平線はハッキリと線を描いていて。
近くで波が音を立てて寄せては返す。
その様子がとても綺麗で。
あたしは着くなり倒れこんだ男の顔を覗いた。







「こんなとこいつ見つけたの?」
「んー?今」
「今?!」
「海の匂いのする方に走っただけだ、俺は」





ルフィは言ってししし、と歯を見せて笑った。





「どうしてここまで引っ張ってきたのよ?」
「だって、他のやつにナミを見られたくないんだ」
「あ、あのねぇ・・・」





そんなことで引っ張ってこないでよ。
なんて、文句を言おうと手を離そうとしたら。
ぎゅっと、握られて。






「この手を、離すな」






そう、言われた。
















「・・・意外と寂しがり屋で臆病なのね」
「不安なだけだ」
「何を不安に思うことがあるのよ」
「じゃあ、くれ」
「何を?」
「俺を安心させるような言葉、くれよ」







ああ、そういえばと。
気がついたことがあった。
アンタはあたしに好きだとたくさん伝えてくれているけど。
あたしはアンタのことを好きだと。
はっきり言ったことがないということに。







繋いだ手。
麦わら帽子から覗く瞳。
バカ正直に真っ直ぐなそれに。
あたしの瞳はいつも釘付けになる。









だから、言えなくなるのに。
真っ直ぐな瞳に晒されて。
この気持ちをどうやって伝えたらいいのか、わからなくなるから。









ルフィの頭から麦わら帽子が浮いて。
風に煽られてくるりと、飛んだ。









見えていなかった分まで瞳が露になって。
ますますあたしを追い詰める。









――――――――――――――風が吹いてもまだ目が、離せなくて。







気がつけば。
あたしはルフィにキスしていた。









































「・・・・ナミ」





抗議の声。
知ってるわ。
アンタが欲しがってるのは行動じゃなく、言葉。






「好きよ」







ずっと、好きだったのよ。
初めて会ったあの日から、ずっと。
アンタの瞳に、あたしは捕まってしまった。








気がつけば、あたしの瞳はもう。
アンタのことしか追っていなかったのかもしれない。









「ホントか?」
「・・・人が素直に言ってるんだから素直に受け止めなさいよ」
「そっか!そうだな!」







嬉しそうに言うなり、ルフィは立ち上がる。
引っ張られるようにして、あたしも。









「ナミ!」
「・・なによ」
「俺も、ナミがだいすきだ!!」






波の音と、お互いの心臓の音が重なり合う。
こんな心地よいこと、他にはない。
ぎゅうっと抱きしめられて。
そのあったかさに、あたしは目を閉じた。





























「あーっ!俺の帽子どこだー?!」
「気づくの遅すぎだっつーの!」











END


最後ふざけちゃった(笑)
どうぞ、お受け取りください。
リクエストがなかったんで独断と偏見の元に曲選ばせていただきましたv

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心友のっちっちから去年の私の誕生日に頂いた素敵小説です。
あぁ、もうっ!コメンツまで貰っちゃって…私、天国に吹っ飛びそうです、バヒューンと。
何て言うか、何て言うか…誕生日にいきなり渡してくれたのでリクも何もしてなかったのに…私のツボをバッチシ抑えすぎですから、のっちっち。
こういう船長だいすき、だいすき、アイラブユー(壊れすぎ)
ちなみに私の大好きなaikoの『帽子と水着と水平線』っていう曲のイメージで書いてくれたらしいです。
ありがとう!のっちっち!素晴らしい誕生日になったよ!今度ボヘミアンなたこ焼き奢るからね!